やさしい税務会計ニュース
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文書作成日:2025/11/25
特定扶養親族に対する扶養控除と特定親族特別控除との併用可否

[相談]

 私は会社で経理・給与計算を担当しています。
 令和7年分以後の所得税から、「特定親族特別控除」(控除額の最高額63万円)が創設されましたが、その特定親族特別控除は、特定扶養親族に対する扶養控除(63万円)との併用が可能なのでしょうか。教えてください。

[回答]

 特定親族特別控除と特定扶養親族に対する扶養控除は、併用できません。詳細は下記解説をご参照ください。

[解説]

1.特定扶養親族と特定扶養親族に対する扶養控除の金額

 令和7年分の所得税における「扶養親族」とは、居住者(納税者本人)の親族(配偶者を除きます)等で、その居住者(納税者本人)と生計を一にする人(※1)のうち、合計所得金額が58万円以下である人(※2)をいいます。

 その「扶養親族」のうち、令和7年12月31日時点で年齢16歳以上であるなど一定の人のことを「控除対象扶養親族」といいます。

 さらに、「控除対象扶養親族」のうち、令和7年12月31日時点で年齢19歳以上23歳未満の人を「特定扶養親族」といいます。

 令和7年分所得税における扶養控除の金額は、「控除対象扶養親族」1人につき38万円、「特定扶養親族」1人につき63万円、などと定められています。

※1 青色事業専従者に該当する人で給与の支払を受ける人等を除きます。

※2 令和7年分の所得が給与所得のみである人の場合、年間の給与収入が123万円以下であれば、合計所得金額は58万円以下となります。

2.特定親族特別控除の概要

 特定親族特別控除とは、居住者(納税者本人)が、生計を一にする12月31日時点の年齢19歳以上23歳未満の親族(配偶者を除きます)等(※1)で、合計所得金額が58万円超123万円以下である人(特定親族)を有する場合には、その居住者(納税者本人)のその年分の総所得金額等から、その特定親族1人につきその特定親族の合計所得金額に応じて一定の金額(※3)を控除するという制度です。

 この特定親族特別控除は、令和7年分以後の所得税(個人住民税については令和8年度分以後)について適用されます。

※3 所得税における、特定親族特別控除額は次の表のとおりです。

(注)令和7年分の所得が給与所得のみである人の場合、年間の給与収入が123万円超188万円以下であれば、合計所得金額は58万円超123万円以下となり、特定親族特別控除の適用を受けられます。

3.特定扶養親族と特定親族の違い

 特定扶養親族と特定親族は名称が似通っており、その要件のうち、居住者(納税者本人)と生計を一にしていること、適用対象者の年齢が12月31日時点で19歳以上23歳未満であること等は同じです。

 ただし、合計所得金額の要件については、@特定扶養親族の場合は58万円以下、A特定親族の場合は58万円超123万円以下となっている点が異なります。

 したがって、特定扶養親族の扶養控除(63万円)と特定親族特別控除(最高63万円)については、併用できないこととなります。

[参考]
改正所法2、84、84の2、令和7年改正所法附則1、6、9など

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